カクテルの原価率(原価率=仕入れ価格 ÷ 販売価格 × 100)は、バーや飲食店の経営において非常に重要な指標です。
単なる利益の算出だけでなく、価格設定やメニュー構成、経営戦略全体に深く関わってきます。
以下では、カクテルの原価率について以下の観点から詳しく解説します。
目次
原価率の基本的な意味
原価率とは?
飲食業界における「原価率」とは、売上に対してどの程度のコスト(原価)がかかっているかを示す割合です。
- 計算式:
原価率(%) =(原価 ÷ 販売価格)× 100
例
- 仕入れ価格:200円
- 販売価格:800円
原価率 =(200 ÷ 800)× 100 = 25%
この場合、1杯売るごとに600円の粗利益(=売価800円-原価200円)となり、原価率は25%です。
カクテルの原価の内訳
カクテルの原価は以下のような要素から構成されています。
主な原価要素
要素 | 内容 |
---|---|
スピリッツ類 | ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ、ウイスキーなど |
副材料 | リキュール(カンパリ、カシスなど)、フルーツジュース、シロップなど |
フレッシュ素材 | レモン、ライム、ミント、果物など |
消耗品 | マドラー、ストロー、ナプキンなど(微細だが積み重なる) |
ガーニッシュ | 飾り用の果物やハーブなど |
例:モヒートの原価試算
材料 | 分量 | 単価(円) | 小計 |
---|---|---|---|
ラム | 45ml | 1500円/700ml → 約96円 | 96円 |
ライム | 1/2個 | 40円 | 20円 |
ミント | 5枚 | 1円/枚 | 5円 |
砂糖 | 小さじ2 | 0.5円/g | 1円 |
炭酸水 | 100ml | 1円/ml | 10円 |
合計 | ー | ー | 約132円 |
販売価格を700円に設定すれば、原価率は 約18.8% になります。
カクテル原価率の目安と業態ごとの違い
一般的な原価率の目安
業態 | 原価率の目安 |
---|---|
一般的なバー | 15〜25% |
ホテルバー | 20〜30%(高級素材を使用) |
居酒屋やカジュアルバー | 10〜20%(利益重視) |
クラフトカクテル専門店 | 25〜35%(品質重視) |
※ 原価率が高ければ高いほど利益率は低下しますが、品質や顧客満足度とのバランスが重要。
原価率のコントロール方法
原価率を適正に保つための工夫
- 正確なレシピ管理:
- 分量を正確に測ることでブレをなくす。
- オーバーポーリング(注ぎ過ぎ)を防ぐ。
- 素材のロス管理:
- ライムやミントの使い方を最適化。
- 在庫回転率を上げて廃棄を減らす。
- 仕入れの工夫:
- 卸業者との交渉やまとめ買いによる単価低下。
- 季節ごとに価格が安定した素材を選ぶ。
- メニュー構成の工夫:
- 高原価のカクテルにはプレミアム感を持たせ、高価格で販売。
- 原価が低いが満足度が高いカクテルで利益確保。
- チャージ(席料)との組み合わせ:
- 原価が高くてもチャージ料で補填できる設計。
高原価カクテルと低原価カクテルの例
高原価になりやすいカクテル
- フレッシュフルーツを多用するスムージー系カクテル
- シャンパンを使ったカクテル(例:ミモザ)
- 高級スピリッツ(例:プレミアムジン、熟成ラムなど)を使うもの
低原価で利益率が高いカクテル
- ジントニック、ハイボール、モスコミュール
- ロングドリンク系で炭酸水やジュースの比率が高いもの
- 甘めのリキュールベース(カシスオレンジなど)
売価設定の実務的な考え方
売価は「ターゲット原価率」をもとに逆算することが一般的です。
逆算式
売価 = 原価 ÷ 原価率
例
- 材料原価:150円
- 原価率目標:20%
→ 売価 = 150 ÷ 0.2 = 750円
このようにして、適正価格を導き出すことが可能です。
まとめ
カクテルの原価率は、単にコストの問題にとどまらず、店のブランディング、顧客満足度、収益性に直結する極めて重要な経営指標です。
高品質を求めれば原価率は上がりますが、それに見合う価格設定や付加価値(接客、空間、グラス演出など)を加えることでバランスを取ることが可能です。
効率よく原価率を管理するためには
- レシピの統一と管理
- 売れ筋商品の把握と見直し
- 定期的な原価チェックと価格改定
- 客層に合った価格と商品設計
以上、カクテルの原価率についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。