フィズとは?炭酸が生む“爽快系カクテル”の代名詞
「フィズ(Fizz)」とは、スピリッツ(蒸留酒)にレモンジュースと砂糖(またはシロップ)を加え、最後にソーダで割った発泡性カクテルを指します。
その名の由来は、炭酸がグラスの中で「シュワシュワ」と弾ける音を意味する英語の擬音語 “fizz” にあります。
フィズは「爽快」「軽快」「飲みやすい」という三拍子がそろったカクテルで、古くから食前酒や夏のカクテルとして愛されています。
フィズの基本レシピと作り方
【基本レシピ(クラシック・スタイル)】
- ジン(または他のスピリッツ)……45ml
- レモンジュース……20〜30ml
- シュガーシロップ……10ml前後
- ソーダ水……約90〜120ml
【作り方】
- ジン・レモンジュース・シロップをシェイカーに入れ、氷を加えてしっかりシェイク。
- シェイク後、氷を除いて(ストレートで)小ぶりのフィズグラスに注ぐ。
- ソーダで満たし、軽く1〜2回ステア(混ぜる)。
これがクラシックなジン・フィズの提供法(ノーアイス)です。
近年では、氷入りグラスに注ぐモダンスタイル(ハイボール風)も一般的になっています。
フィズの特徴と魅力
- 爽快感とキレのある酸味
炭酸の刺激とレモンの酸味が調和し、スッキリとした飲み口に。暑い季節にもぴったり。 - アルコール度数が控えめで飲みやすい
ソーダで割るため、ストレートスピリッツに比べて度数は穏やか。 - 幅広いスピリッツに応用可能
ジン以外にも、ラム・ウォッカ・テキーラ・ウイスキーなどでアレンジ自在。 - 炭酸がもたらす“音と泡”の美学
fizzという言葉自体が「泡立つ音」を意味し、聴覚的にも爽快感を演出します。
フィズの歴史:誕生は19世紀アメリカ
フィズの原型は、19世紀のアメリカ・ニューオーリンズで誕生しました。
最初に人気を博したのが「ジン・フィズ(Gin Fizz)」で、後にその改良版として登場したのがラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz)です。
特にラモス・ジン・フィズは、1888年にヘンリー・ラモスが考案したもので、卵白や生クリーム、オレンジフラワーウォーターを加えた濃厚なタイプ。
複数のバーテンダーが交代で長時間シェイクしたという逸話まで残る、伝説的なカクテルです。
フィズとコリンズの違い
「フィズ」と「コリンズ」は似ていますが、以下のように提供方法とグラスが異なります。
| 項目 | フィズ(Fizz) | コリンズ(Collins) |
|---|---|---|
| 提供方法 | シェイク後、基本はノーアイスでストレート提供 | 氷を入れたコリンズグラスでビルドまたはシェイク後注ぐ |
| グラス | フィズグラス(小ぶり) | コリンズグラス(背の高い円柱形) |
| 味わい | 炭酸の刺激を強調、爽快感重視 | ロングドリンクとして穏やかに飲める |
| 分類関係 | サワー+ソーダ=フィズ | フィズのロングバリエーション |
つまり、フィズは短く爽快に飲むカクテル、コリンズはゆったり楽しむカクテルと覚えると分かりやすいです。
代表的なフィズの種類(バリエーション)
| 名称 | 特徴・内容 |
|---|---|
| ジン・フィズ(Gin Fizz) | フィズの原型。ジン+レモン+シロップ+ソーダ。最もクラシック。 |
| ラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz) | レモン+ライム、卵白、生クリーム、オレンジフラワーウォーター入りの豪華版。 |
| シルバー・フィズ(Silver Fizz) | 卵白を加えてクリーミーに仕上げる。 |
| ゴールデン・フィズ(Golden Fizz) | 卵黄を加えてコクを出す。 |
| ロイヤル・フィズ(Royal Fizz) | 卵白と卵黄を両方使うリッチなタイプ。 |
| スロー・ジン・フィズ(Sloe Gin Fizz) | スローベリーリキュール「スロー・ジン」を使い、甘酸っぱく果実感豊か。 |
| ダイヤモンド・フィズ(Diamond Fizz) | ソーダの代わりにスパークリングワインで割る上品なアレンジ。 |
卵白入りのタイプでは、「ドライシェイク(氷なしで泡立て)→ウエットシェイク(氷ありで冷却)」の二段階シェイクが理想的です。
泡がきめ細かくなり、舌触りが格段に上質になります。
フィズを美味しく作るためのコツ
- ソーダは最後に加え、混ぜすぎない
炭酸が抜けないように、軽く1〜2回だけステア。 - レモンジュースは必ず搾りたてを使用
香りと酸味のフレッシュさが命です。 - 氷は大きめのクリアアイスを使う(モダンスタイルの場合)
水っぽくならず、味の輪郭が保たれます。 - グラスは事前に冷やしておく
炭酸の気泡を長持ちさせるコツ。
フィズを楽しむシーンと相性
- 食前酒(アペリティフ)として最適:酸味と炭酸が食欲を刺激。
- ランチや昼飲みにも:軽やかなアルコール感で昼でも飲みやすい。
- アレンジ自在:フルーツピューレやハーブ(バジル・ミント・ゆずなど)を加えたモダンフィズも人気。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | フィズ(Fizz) |
| 意味 | 炭酸が泡立つ音(擬音語) |
| 基本構成 | スピリッツ+レモンジュース+シロップ+ソーダ |
| 特徴 | 爽快・軽快・発泡性・飲みやすい |
| 原型 | ジン・フィズ |
| 有名派生 | ラモス・ジン・フィズ、スロー・ジン・フィズ、ダイヤモンド・フィズなど |
フィズ=“サワーをソーダで軽やかに仕上げたカクテル”。
シンプルながらも奥深く、プロの技で泡・温度・香りの調和を引き出すのが醍醐味です。
以上、カクテルのフィズについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
