卵を用いたカクテルは、独特の舌触りとコクを与えるクラシックなジャンルです。
卵白のきめ細やかな泡立ち、卵黄の濃厚さ、全卵のバランス感。
それぞれの特性が一杯に生きており、バーテンダーの技量が如実に表れるカテゴリーでもあります。
目次
卵カクテルの魅力と特徴
- シルキーな泡立ち:卵白を使うと、なめらかな泡の層ができ、飲み口が軽やかに。
- コクの深み:卵黄や全卵を用いると、濃厚でリッチな味わいに仕上がる。
- アルコールの角を丸める効果:卵がスピリッツの強さを包み込み、より飲みやすく。
卵の使い方による分類
- 卵白系
- 狙い:泡と軽さ
- 例:ピスコサワー、クローバー・クラブ、シルバー・フィズ
- 卵黄系
- 狙い:濃厚さと栄養価
- 例:エッグノッグ、ゴールデン・フィズ(卵黄使用のフィズ)
- 全卵系
- 狙い:卵黄のコク+卵白の泡の両立
- 例:シェリー・フリップ、ラム・フリップ、ウイスキー・フリップ
代表的な卵カクテル
エッグノッグ(Eggnog)
- 冬の定番カクテル。ミルク、砂糖、スパイスにブランデーやラムを加える。
- 基本は冷製だが、温めるスタイルも存在。ホットの近縁例に「Tom & Jerry」がある。
ピスコサワー(Pisco Sour)
- ペルー・チリを代表するカクテル。ピスコ+ライム+シロップ+卵白。
- 泡の上にビターズを数滴落とすのが定番。
ラモス・ジン・フィズ(Ramos Gin Fizz)
- ジン+レモン+ライム+砂糖+生クリーム+卵白+オレンジフラワーウォーター。
- 仕上げにソーダ水を注いで立ち上げる。
- 「10分以上振る」逸話があるが、実際はドライシェイクとウェットシェイクを組み合わせ1分前後で十分。
フリップ(Flip)
- 全卵を使う濃厚なクラシック。17世紀には熱した鉄棒で温めたホットエールが起源で、後に現在のカクテルスタイルに発展。
- シェリーやラムを使うものが一般的。
アレクサンダー(Alexander)
- ブランデー(またはジン)+カカオリキュール+クリームのデザート的カクテル。
- 卵は通常使用しないのが標準レシピ。
作り方の技術ポイント
- ドライシェイク:氷を入れずに振って卵をしっかり乳化させる。
- ウェットシェイク:その後氷を加えて冷却&仕上げ。
- リバース・ドライシェイク:氷ありで一度振ってから氷を抜いて再度振ると、泡がより安定。
- スプリング併用:シェイカーにバネ(ホーソンのスプリング)を入れると、泡立ちが効率的。
衛生と代替
- 必ず新鮮な卵か、パスチャライズ(低温殺菌済み)卵を使用。
- 生卵摂取に不安があれば、卵白パウダーやアクアファバ(ひよこ豆の煮汁)で代用可能。
- 作ったらすぐに飲む。時間が経つと分離・酸化が進む。
卵カクテルのまとめ
卵を使ったカクテルは、単なるお酒ではなく「テクスチャーを楽しむ飲み物」です。
卵白は軽快で繊細な泡を作り、卵黄や全卵は食事代わりになるほどの濃厚さを加える。
古くから冬の栄養ドリンクとしても親しまれ、今なおバー文化の中で重要な位置を占めています。
以上、卵を使ったカクテルについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。